dalichoko

しょうもない

地獄の花園 

バカリズムの脚本を映画化した2作目。前作は『架空OL日記』で本人が主演だったが、今回はちょい役のみで、主演は永野芽郁さんや広瀬アリスさんをはじめとする旬な女優さんによるお笑いである。監督はミュージシャンの映像ディレクター関和亮氏。


www.youtube.com

まあとにかく面白い。予告編からして面白い。というか予告編でほとんど語られ尽くしているので、映画はそのディテールを追うだけなのかもしれないが、OLの派閥抗争を描くドラマである。

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とにかく次から次へと展開する話は、どうやら過去の学園抗争ものの漫画から集めているらしく、ありとあらゆるテーストが込められているようだ。このジャンルは全く縁がないのだが、このようにしてみると単純で面白い。とにかく喧嘩の強い者が勝つ、という話だからその背景に特別な意図はない。

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途中入社の広瀬アリスさんが、会社の小ボスを次々と倒し、次に周辺にある会社のOLも木っ端微塵にすると、最後に大手会社の大ボスが同僚の永野芽郁さんを誘拐する。そして広瀬さんが永野さんを救いに行くと、驚くべきことが起きるという話である。

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バカリズムのインタビューなどを読むと「芸人なので面白ければ何でもいい。」という考えなので、これはこれでいいと思う。このところ暗くて厳しい話の多い世の中で、映画もまた内面に向かう暗い話が多かっただけに、こういうしょうもない明るい映画は逆に力になるように感じる。とてもおもしろかった。

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それにしても名だたる女優さんたちがよくこういう役を引き受けたと驚く。そしてワイヤーアクションも含めて、対決シーンを真面目に演じているのもいい。

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大いに笑わせてもらった。

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茜色に焼かれる

茜色に焼かれる』を鑑賞。ユーロスペースは満席だった。

円山町のユーロスペースの入るビルは今やイメージフォーラム岩波ホールなどを超える聖地だ。素晴らしい企画やイベント。ホールは小さめだが快適な映画環境に感心する。

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www.youtube.com

あまり事前の予備情報なしで見たんですけど、オダギリジョーさんが自転車に乗ってるんですよ。そして高齢の男性が運転しているシーンがカットインして、コンピューターの事故シーンがモンタージュする。わかりやすい。これが例の池袋で起きた元高級官僚によるおぞましい交通事故を当て込んでいるのだ。よくこれを映画にしたものだと思う。朝日新聞が協賛しているのも意味があるのだろうか。(朝日新聞はまるで信用してないが・・・)

★歩行者に厳しい交通環境

★上級国民の上級警護

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この映画はいくつかの大きな問題を示すことに挑戦している。そのひとつが「上流国民/下流国民」(橘玲著)にも詳しく書かれているとおり、夫を車で跳ね飛ばしたアルツハイマーの老人の葬式から追い出される主人公の妻、尾野真千子さん演じる田中良子のジレンマはここにある。夫を跳ねた側は起訴もされず死んで大勢の弔問客に惜しまれている。その家族は彼女が弔問に訪れたことを強く拒否し、弁護士を通じて脅迫行為にあたる可能性があることを伝えるのだ。ここまで語ればこの映画は十分だ。それだけで価値のある映画だ。石井裕也監督は本当によくやったと思う。

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映画は田中良子の息子が語る形式で進行する。彼の存在はこの映画唯一の救いといえる。画面の片隅に時々映し出される文字。それは生活費の金額、例えばパートの時給だったり公団の家賃だったりする。コロナ渦で、夫と営んでいたカフェも閉店し、花屋のパートのほか息子に内緒で風俗店で仕事をして生活を支える。そして彼女と同じ風俗店で働く若い女性ケイもまた下級国民で、インスリンを打ちつづける病気を抱えている。

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息子は息子で学校でいじめにあいながらも必死で学業に専念し、母親を信頼している。しかし母の身には波状攻撃のように悪いことばかりが押し寄せてくる。そんな彼女の口癖は「まあ、頑張りましょう。」彼女は内面に何かを抱えながらもそれを抑えながら耐えて耐えて生活しているのだが、周囲の環境が次第に変化してゆく。

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最後に抑えの効かなくなった彼女の感情を制御する助けになるのが、息子と風俗店のケイと、風俗店の店長である。詳しくは書けないが、永瀬正敏さん演じる風俗店の店長は、良子が風俗店を辞める意思を示したとき、極めて辛辣で且つ彼女の内面を見透かすようなアドバイスをするのだが、この役に最後重きを置いたのもまたこの映画の妙味だ。

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というのは、この部分だけを切り取ると、それはまるで『すばらしき世界』や『ヤクザと家族』に重なってゆくことをにじませるからだ。それは、この世界が”貧困の受け入れ先”だったはずなのに、それすらも失われてゆくこの国の末路を示していることを意味する。

ここまで書けばわかるだろうか。この映画の主人公をめぐる”事実”と思しき現実は、いまの日本をそのまま示している。そしてそのことは上流国民は痛みを覚えず、下流国民の下層社会で生きてゆくためになりふり構わず生きようとする虐げられた女性の苦しみを露骨に表しているのだ。

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ミスター・ロジャースのご近所さんになろう    WON'T YOU BE MY NEIGHBOR?

フレッド・ロジャースというアメリカの子供向け番組を30年以上も続けた方のドキュメンタリー。


www.youtube.com

これはトム・ハンクスがロジャースさんを演じた『幸せへのまわり道』がこのドキュメンタリー映画の翌年に公開となり、ささやかなロジャースさんブームとなった。トム・ハンクスがじつにうまくロジャースさんを演じていた。ニューヨークの地下鉄で、ロジャースさんに気がついた乗客がA BEAUTIFUL DAY IN THE NEIGHBORHOOD”を合唱するシーンに強く感動した。そこには年代と人種を超えた絆があった。


www.youtube.com

この映画は、生前のロジャースさんへのインタビューと、関係者の証言で時系列に綴られてゆく。ロジャースさんがテレビに着目したことと、騒々しいテレビ番組が多い中で沈黙を豊かに表現しゆっくりとゆっくりと言葉をつなぐ彼の姿勢に心を打たれる。存在そのものが神がかり的である。

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マペットを使った手法もまた効果的だ。世の中の事件や戦争、あるいはいじめや”死”というテーマをごまかさず、正面から伝える。暗殺事件やテロ事件があっても、子供向け番組でこうした時事問題を取り上げるのだ。ロジャースさんの姿勢で最も輝かしい点はここだろう。事実から目をそらさない。ゲストが来て聞き手として対峙するとき、彼は必ず相手の目を見つめる。

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いまでいうLGBTや黒人差別問題などに対しても真っ向から取り組む。当時、黒人がプールの入ることは禁じられていた時代に、同じ樽の中に足をいれるシーンは感動を呼ぶ。しかし彼は淡々と当たり前のようにこうしたシーンを子供向け番組の中心に据えるのである。

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公共放送としての役割に対し政治的圧力がかけられたとき、当時ニクソン大統領時代に公聴会に呼ばれて彼は特別な言葉に頼らず、番組のテーマ曲の歌詞を朗読し、審議官を感動に導く。予算削減をする公聴会で、番組のメロディーが人々を納得させた。

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ほかにも数え切れないほどのエピソードをロジャースさんとこれらの番組は築き上げてきたのだが、障害になって車椅子で番組に現れた少年が大人になって、何かの表彰式でロジャースさんと再会するラストはあまりにも感動的だ。何もしなくても誰もが特別なでかけがえのない子供なんだ、ということをしきりに繰り返すことで慈愛を放っている。

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しかし残念なことに、こうした彼の長年の功績を茶化したり批判したりする者たちがいる。ある種の有名税のようなものだろうか。しかし彼はそうした悪意に対しても武器を持たない。力で対抗することなく冷静に柔らかく応じる彼の姿勢に学ぶことは多い。アメリカはいま憎しみの連鎖が広まっている。いや世界にその憎しみと悲しみが連鎖しているようだ。そうした社会にならないためには、幼児教育から考え直さないといけない。ロジャースさんの多くのセリフで最も印象的なのは「彼ら(幼い子どもたち)もいつか消費者になる。」ということ。それは大人になって彼らが武器や暴力に使うものに消費することがないようにしたいという願いが込められていると感じた。

ロジャースさんの功績は当たり前として、これは映画としても充実した内容だ。そして目をそむけてはいけない社会が目の前の存在する。

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ミッチェル家とマシンの反乱

ミッチェル家とマシンの反乱』めちゃめちゃ面白かった。よくできた映画だった。

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ソニーコロンビア映画が公開する予定だった3DアニメをNetflix映画としてリリースしていた。

 もともとのタイトルはコネクテッド。これインターネット用語らしく、ネット接続の意味だそうだ。まさにコネクテッドの映画。いまもはや人類はネット接続なしに生きていけない。『2001年宇宙の旅』のHALがこの映画ではPALとされている。『ファーザー』のオリヴィア・コールマンが声をやっている。まさに世界の支配者。

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 この映画、ひとえにマイケル・リアンダ(『グラビティ・フォールズ』)のセンスが光る。彼のありとあらゆる映画愛、そして多くの映画から抽出されたシニカルで意味深い構成にうなる。ちなみに『2001年宇宙の旅』のHALを一文字ずつ前倒しするとIBMになる。IBMが家電製品の会社でトースターを爆発的にヒットさせた会社なのをあまり知るものはないだろう。この映画でもトースターなどの家電がこの家族をアタックしてくるシーンが面白い。

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この家族は特殊能力のない『インクレディブル・ファミリー』。普通の家族だが娘の成長に合わせて家族が離れていこうとするとき、大事件が起こる。ネット社会が人間を支配するのだ。Wi-Fiが繋がらなくなると、人はもはや何もできない。この父親はもともとネットを信用していない。そんなアナログの父親が家族の信頼を取り戻しつつ、PALとの戦いに挑む。

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これがPAL。ネット社会の支配者だ。

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このように多数のロボットをコントロールして社会を支配する。まるで『ファントム・メナス』のドロイドだ。しかし落ちこぼれのドロイドがこの家族の助けになったりするところも面白い。母親の愛情のロボットが涙を流す(描く)シーンはユニークだ。

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とかくドタバタ劇だけを強調して推し進めるのがスタンダードだが、この映画は深い問題を提起していると思う。さまざまな映画のシーンをところどころに落とし込みつつ、人間の本質をえぐるような深い作品に仕上がっている。

 

必見!すごーく面白い!

 

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ファーザー THE FATHER 

ファーザー』を浦和で鑑賞。

監督はフランス人のフロリアン・ぜレール。映画の中でもパリについて触れられているのはこの人のって舞台劇がベースとなってるからだ。これが初めての映画作品となる。

 アンソニー・ホプキンスオリヴィア・コールマンが共演するというだけで、この映画の価値は保証されたようなものだが、結論からいうと芳醇な味わいある映画を堪能したということだ。素晴らしかった。

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認知症を患った父親の目線で描かれるこの映画は、まるでホラーかサスペンス映画のようだった。何しろ娘だと思った人が次の日には別人に成り代わっているのだ。そして別れたはずの娘の夫が出てきて悪態をついたり暴力まで奮ったりする。ヘルパーの女性も次から次へと別人になる。これがもし本当なら、周囲も大変かもしれないが、もっとも大変なのは本人であろう。

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 主人公がこだわるのは腕時計だ。前のヘルパーが腕時計を盗んだという話を娘にするシーンから始まる。そして密室劇で進むこのドラマは、主人公が目覚めたりドアを締めたるする瞬間から周りの人物が入れ替わってゆくという構成になっている。ここは本当に怖い。

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羊たちの沈黙』で世界を震撼させたレクター教授がこのように老いて狂気のような状態となり、『女王陛下のお気に入り』でわがまま放題だった女王が老いた父親に翻弄させられる様はなんと皮肉なことだろう。ベネディクト・カンバーバッチの『シャーロック』で兄の役マーク・ゲイティスが出番は少ないが重要な役で出てくる。唐突に現れた彼が何者か?を最後の最後まで明かさないところがこの映画のミソだろう。この老人が最後にどうなるのか?『明日の記憶』や『愛、アムール』と重ねて思いを寄せる映画だ。

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Death to 2020 Netflix

そうか、そうなのだ。2021年も半ばに差し掛かり、未来に歴史を振り返るとき、我々はどれだけ冷静に2020年を振り返ることができるだろう。ある落語家が「未来とは修正できると思っている過去」と表現したが、この映画は過去を修正せずにそのまま記録にしようとしているようだ。

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フィクションである。したがってここに出ている著名なスターたちは言うまでもなく本人の名前で出演していない。2020年をコロナでくくるのはあまりにも簡単だが、ここでは別の視点からこの年を振り返ろうとしている。

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次々に起こる山火事を写す冒頭のシーンから、グレタ・トゥンベリさんのメッセージやブレグジット、王室とメーガンの関係やトランプの弾劾裁判、ジョージ・フロイド事件などをめぐり、あらゆる人物がコメントする。このコメントがどれも的外れで笑わせる、という構成。

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メディアや学者や政府の広報官などの中で、最も過激な発言をするのがサッカーママで、もっともまともなのが一般人だったりする。いずれにしても誰もが矛盾を抱えている。2020年を振り返る様々な事件や災害を前に、誰もがずれている。

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この噛み合わない世の中を上質なジョークで綴るこの映画は、民主主義をも否定する勢いである。というかこれまで当然のように肯定されてきた様々な制度が、ごく一部の政治家や発言者、それを支持する者たちで大きく変化をもたらすという恐ろしさを示している。ある意味で恐怖映画だ。

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タイム TIME

Amazonドキュメンタリー映画タイム』を鑑賞。町山智浩さんがちらっと紹介していて興味をもった。監督はギャレット・ブラッドレイとい女性。1984年生まれのち的な女性監督による作品。ある黒人家族の20年以上に及び長い長いホームビデオを編集し、それに映像を重ねたモノクロ映画。モノクロであることのに意味がある。

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この夫婦はなんと「銀行強盗」である。

 

といっても『俺たちに明日はない』のような暴力的なものではなく、生活が苦しくてやむなく強盗をせざるを得なかった、ということらしい。このあたりはあまり映画では語られない。問題はこの夫婦が刑務所に服役して、夫のロバートがとてつもなく長い懲役に服することになる点だ。妻のシビルは3年半ほどで釈放されるが、彼女が何度も再審請求をしても夫は保釈されない。”黒人だから”という理由で刑が重くされていることが示されてゆく。ここが時代性というものだろうか。アメリカがトランプ政権になってから、明らかに黒人(そして黄色人種を含む人々も)に対する偏見が強くなっている。『隔たる世界の2人』も広い意味では同じことを言っている。

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子供6人を抱えた母親のシビルが、車の販売外車で成功して子どもたちを立派に育て、夫の再審請求を何度も繰り返しながら、地域コミュニティなどと連携し、勝利を得るまでのストーリーとなっている。しかし、何度も何度も裁判所へ電話しても、電話すらまともに取り次いでくれない。その理由はどうも”黒人だから”ということらしい。

 

それでもシビルは子育てや仕事の忙しさに愚痴もこぼさず、明るく丁寧に生きていく。子どもたちは立派に育ち、自らの仕事も成功してゆく。黒人女性がなにかをしようとしても社会の階層化によって押しつぶされる。それにはパワーで対抗するしかない。刑務所の劣悪な対応もまた語られる。黒人に対しては奴隷のように扱われる。

 

いっこうに取り次いでくれない裁判所との電話を切ったあと、この映画で唯一感情を露わにする。”Sccess is a best revenge.” 彼女は感情を抑制し、冷静に自分の成功が社会に対する復讐になることを熟知している。『13th 憲法修正第13条』にもある通り、どんなに世間が平等や公平を言葉にしても、制度に抜け道がある以上マイノリティに突破口は開かれない。そんな実情をこの映画は教えてくれる。

 

しかし映画はこうしたシビアな題材を扱いながらも明るく描かれる。ひとえにシビルの性格もあるのかもしれないが、映画自体は社会批判を軸に置いていはいない。むしろ家族の強い絆を延々と描いている印象だ。『なぜ君は総理大臣になれないのか』という映画にも同じような感じがした。主題とは別の家族関係に魅せられてゆく。それはいずれも長い長い時間をかけて撮られた映像の中に、子どもたちの成長があるからではないかと思わせる。子供は未来への夢だ。

 

シビルが強盗を働いた銀行に謝罪しに行ったときに言われた言葉が強烈な印象を残す。

 

「私達より、あなたのお母さんに誤ったの?」

 

要するにこの映画は謝罪(Forgive)の映画なのである。ここがこの映画の監督のセンスだろう。単なるサクセスストーリーや単なる黒人への偏見に対する問題提起としてだけなら、これほどの感動はない、罪と罰の間には必ず”許し”があるということだ。失敗は誰にでもある。しかしその失敗を個人の責任として押し付けるだけでは犯罪行為は終わらない。二度と繰り返さない仕組みづくりが求められるのではないか。そのための”許し”というのは、極めてキリスト教的である。そしてこの監督が宗教学を専攻して学んだことがこの映画に生かされいるような気がする。

 

 

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