dalichoko

しょうもない

TYM344

TYM344の作品がパルコの2階で紹介されているとうので覗きに行った。 OILの狭い空間をインスタレートする作品は、小さいながら大きさを感じさせる。 「絵を描くこととは、決定された画像をつくること」として、道路標識から秩父連山まであらゆる不動物を手本…

映画には「動機」がある 町山智浩 

少し前に『それでも映画は「格差」を描く』のひとつ前の最前線の映画を読むシリーズVol2だ。『映画には「動機」がある』12章からなる本は、それぞれの映画に出てくる不思議なシーンに着目し、その理由を掘り下げている。例えば「なぜストリックランドは手…

ニッポン国 おかんアート村

渋谷公演ギャラリーで展開するアール・ブリュット、すなわちチープなアートの新しい展示があったので飛び込んだ。無料というところがいい。渋谷はお金がなくてもアートを堪能できるのだ。 このコンセプトでいうと、ほとんど資本を伴わない消費、という意味で…

バンクシー展 ディズマランド

バンクシーにかかると文化や倫理も崩壊する。 中でも驚いたのはディズニーランドではなくディズマランド。 子供が行きたくなくなる遊園地というコンセプトはまさにコロナ禍のデストピア。平和とはほどとおい世界。 この世の中をデストピアと位置づけする作品…

バンクシー展 政治

バンクシーがかねてからターゲットにしているのは政治だ。その先には戦争がある。政治と戦争は常に背中合わせで紙一重の緊張が常に付きまとう。最後は力でねじ伏せる、というのが常套手段だ。 この「ボム・ラブ」という作品の皮肉。この少女が果たして戦争か…

バンクシー展 天才か反逆者か

昨年の夏に寺田倉庫で体験したバンクシーとはまた異なる視点の展覧会であった。面白かった。 バンクシーがテーマとする様々な作品の中でも、特に過激な分野をチョイスしている。政治、文化、倫理、戦争。これに加えて個人的に最も興味をそそられるのが経済だ…

ブラックボックス 砂川文次

第166回芥川賞受賞作『ブラックボックス』を文藝春秋で読む。著者は砂川文次氏。 極めて細やかで胸が痛くなるような表現。 主人公のサクマはメッセンジャー。自転車で運ぶシーンから始まる。雨の交差点に突っ込んでゆく主人公の近くを白いベンツが交差し…

与太郎戦記 春風亭柳昇

お弟子さんの春風亭柳之助師匠とお近づきにさせて頂いた時、当時の柳昇師匠のことを教えて頂いた。柳之助師匠が初めて吉祥寺の(今はなき)バウスシアターで柳昇師匠の落語を聞いて衝撃を受けた、というお話からいろいろ尾ひれがついて、たまたま銀ブラなら…

ビッグバグ ジャン・ピエール・ジュネ

まさかのジャン・ピエール・ジュネ新作。Netflix映画『ビッグバグ』 www.youtube.com とんでもない映画だった。見終わってからジャン・ピエール・ジュネの作品だと気づくのだが、彼の発想の転換には誰も追いつけない。『アメリ』がそうであったように、とに…

トールガール2 エミリー・ティン

きっかけはサブリナ・カーペンターだったと思う。彼女の『Wok It!輝けわたし』という映画が素晴らしくて、彼女が出ている『トールガール』をついつい見てしまい、その勢いでこの続編まで鑑賞してしまった。 『トールガール2』Netflix映画だ。 www.youtube.…

ルーフトップ・コンサート ピーター・ジャクソン

さすがはピーター・ジャクソンだ。恐れ入った。彼もまた別の意味で最近有名人になってしまったが、ドキュメンタリーフィルムの再編集活動は素晴らしい。 『ザ・ビートルズ Get Back:ルーフトップ・コンサート』に心から感動した。 www.youtube.com …

ゴヤの名画と優しい泥棒 ロジャー・ミッシェル

『ゴヤの名画と優しい泥棒』 東洋経済新報社に応募したらオンライン試写会が当たった。嬉しかった。そして心から感動した。素晴らしい映画だった。 www.youtube.com 原題は”The Duke”で公爵という意味だ。 ゴヤの「ウェリントン公爵」という作品のタイトルが…

ゴーストバスターズ アフターライフ ジェイソン・ライトマン

『ゴーストバスターズ アフターライフ』を鑑賞。 www.youtube.com ”Ghostbusters: Afterlife” もともとこれまでの『ゴーストバスターズ』シリーズには全く興味もなかったし、感動もなかった自分にとって、これは全く異なる認識の映画だった。 その理由の多く…

ウェスト・サイド・ストーリー スティーブン・スピルバーグ

『ウェスト・サイド・ストーリー』劇場鑑賞。新宿ピカデリーにて。 www.youtube.com スティーブン・スピルバーグがインディ・ジョーンズの最新作を途中で投げ出してまで作り上げたかったあの歴史に残る傑作『ウェストサイド物語』のリメイク。実は1961年…

サタンタンゴ タル・ベーラ

生涯最高の映画体験。『サタンタンゴ』をシアターイメージフォーラムで鑑賞。 www.youtube.com まずはこの映画を劇場公開に導いたビターズ・エンドの挑戦に敬意を表したい。内外の必ずしもマーケットに乗らないであろう名画を積極的に配給する姿勢に感謝。『…

ダムネーション/天罰 タル・ベーラ

『ダムネーション/天罰』を雪の降る表参道イメージフォーラムで鑑賞。 www.youtube.com 手に負えなかった。 これをどう説明していいかわからない。わからないのでめったに買わないプログラムを買ったが、それでもよくわからない。 少なからず、この映画は物…

さがす 片山慎三

『さがす』レイトショーで鑑賞。 www.youtube.com 平日の夜、新宿まで移動してレイトショーを鑑賞。 会場は遅い時間にもかかわらずほぼ満席。熱気ムンムンだ。 事前き聞いていたとおり、この映画の感想など、なにひとつ書くことができない。書いた瞬間からネ…

日本アカデミー賞廃止論

かねてからと同じ主張だ。 濱口竜介監督が『ドライブ・マイ・カー』で本場ハリウッドのアカデミー監督賞にノミネートされた。日本人としては36年ぶり、黒澤明監督が『乱』でノミネートされて以来の快挙。ノミネートだけでもすごいことだが、もし受賞となる…

ロイヤル・トリートメント リック・ジェイコブソン

Netflix映画『ロイヤル・トリートメント』 www.youtube.com 若き監督のリック・ジェイコブソンはTVシリーズなどの演出を経て、この映画を演出したらしい。なかなか愛らしい映画。単なるラブコメでもない。 美しいローラ・マラノ演じる主人公はニューヨークの…

ホーム・チーム チャールズ&ダニエル・キナン

ケヴィン・ジェームズ主演の『ホームチーム』Netflix配信映画だ。 www.youtube.com こういう映画をみると、瞬時に『がんばれ!ベアーズ』が思い出される。ウォルター・マッソーとテイタム・オニール。なんとヴィック・モローも出ている映画で、シリーズ化さ…

屋根裏の散歩者 江戸川乱歩

江戸川乱歩の「屋根裏の散歩者」をなぜかダーリンが買ってきた。 ほかにも「人間豹」「押絵と旅する男」「恐ろしき錯誤」の4編が収められている。解説は高木彬光。 『屋根裏の散歩者』は、ある学生が主人公。何度かドラマ化もされているようだ。 何をやって…

キネマ旬報ベストテン 2021年度

2016年度 2017年度、2017年度 2018年度 2019年度、2019年度 そして2021年度が先ごろ発表になった。表彰式をまったりと堪能してしまった。 www.youtube.com 何度か表彰式に参加させてもらった頃がとても懐かしい。 今村昌平監督の『黒い雨』が最も古く、周防…

ふくらはぎをもみなさい 鬼木豊・槙孝子

かねてから冷え性だった自分は、時々ジョギングをして筋力をあげようとしたらふくらはぎが痛くなった。そこことをポロッと義母に話したら過剰反応を示して「ふくらはぎは第ニの心臓だ。」などと大げさなことを言う。 そのうち義母からこの本が届く。『長生き…

ドストエフスキー入門 佐藤優 悪霊・未成年・カラマーゾフの兄弟

第三章 悪霊 まず、高橋和巳の『日本の悪霊』について紹介される。逃げる政治犯と特攻帰りの刑事、1950年の日本共産党分裂が背景にあるらしい。連想したのは黒澤明監督の『野良犬』だ。(こんど読んでみよう。) 『悪霊』にはルカとマタイの福音書が出て…

生き抜くためのドストエフスキー入門 佐藤優 罪と罰・白痴

2021年がドストエフスキー生誕200年ということと、コロナという未曾有の感染症が世界を蔓延する中で、ロシアの文豪が見直されてる。手始めに亀山郁夫先生の著書「ドストエフスキー黒い言葉」に触れてはみたものの、あまりにも敷居が高すぎて苦戦した…

フレンチ・ディスパッチ ウェス・アンダーソン

またしてもウェス・アンダーソンがやってくれた。『フレンチ・ディスパッチ』 www.youtube.com 前作『犬ヶ島』にもやられたが、今回もぶちのめされた気がする。もうウェス・アンダーソンにはとてもじゃないがかなわない。彼の頭の中はとてつもなく寛大だ。 …

激動 日本左翼史 池上彰・佐藤優 過激化する新左翼

お二人のお話の中で、思想的な書物を扱う書店についての紹介があったのも面白い。 そして本書は最終章に進む。 70年代に入ると敗北を認めたくない左翼思想集団はさらに暴徒化する。これは自分も子供の頃漠然とテレビのニュースなどで見ていた記憶がある。 …

激動 日本左翼史 池上彰・佐藤優 新左翼の理論化たち

ここで新左翼の理論化たちをお二人は紹介している。 講座派 対米従属 労農派 独立帝国主義 というふたつの左翼運動の中で池上彰さんは大学入学を決める。 そして当時の理論的に軸となる人物にマルクス経済学者の宇野弘蔵がいて大いに新左翼へ影響した。他に…

激動 日本左翼史 池上彰・佐藤優 「学生運動の高揚」

第2章は学生運動の高揚。1965〜1969年の4年間のことが書かれている。戦後左翼史の中でも凝縮された時期と言えよう。 アカシアの雨がやむとき という歌がある。水木かおるさんが歌詞を書いた歌。 www.youtube.com これこそ何をやっても無駄だった、…