世界でいちばん貧しい大統領から日本人へ
映画として優れた作品だった。日本映画は衰退の一途を邁進し加速させているが、このドキュメンタリーという分野である種の可能性を残しているように思える。
ムヒカを題材としたドキュメンタリーはいくつか作らているが、これは日本人をターゲットにしている。
そして・・・
「もしドイツ人がひと家族ごとに持っているほどの車を、インド人もまた持つとしたら、この地球はどうなってしまうのでしょう?私たちが呼吸できる酸素は残されるのでしょうか。」
このひと言で、会場は凍りつく。そして記者席で囁きが始まり、彼の言葉は一気に世界に拡散してゆく。彼はこの後、この国連会議の議題である”発展”というテーマそのものを否定し、物質社会の発展と地球環境の幸福は両立しないと断じる。
演説の全文 はネットで読むことができる。
わかりきったことだが深刻だ。
思い起こせば、世界が発展するのに反比例して経済に不穏な空気が漂い始めたのは中国共産党の開放政策が推進されてからだ。世界のGDPが中国に依存することで、地球環境は大いに混乱し始めた。しかし違う。中国よりも先にもっと贖罪を受けるべきアジアの国があるだろう。
ムヒカは自分の演説が絵本になった日本を訪れる。そして彼の鋭い分析が日本を貫く。日本の文化に敬意を示しつつ、戦争を境に西洋化を進め、経済競争に勝とうとしたことで日本らしさを失い、その効果は世界を巻き込んで環境を貶めたのだ。
そうだ、日本はいま中国や他の後進国あるいは元後進国を見下ろして涼しい顔をしているが、実は工業的な発展と環境破壊の先頭をアメリカとともに進めてきた国のひとつなのだ。西洋化が日本に訪れたことで世界環境を悪化させたのだ。
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