dalichoko

しょうもない

アンモナイトの目覚め AMMONITE

 
 
素晴らしい映画だった。一部では『燃ゆる女の肖像』の二番煎じみたいなことも言われているが、似ている部分はあるとして、この映画には全く違う価値が存在すると思う。
ケイト・ウィンスレットシアーシャ・ローナンというだけで映画館に行く価値のある映画なのだが、なんとこの2人は映画の中でほとんど会話をしない。特に前半は全く会話もしないし表情もない。お互いがそれぞれに”なにか”を抱えている。それをセリフ抜きで表現するというところがまずすごい。ケイト・ウィンスレットにとってはウディ・アレンの『女と男の観覧車』とは真逆の演技。シアーシャ・ローナンも『若草物語』では想像もできないような演技。

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このシーンが好き。2人が何も会話しないで海を見つめるシーン。そしてずっと表情を頑なにしていたメアリー(ケイト・ウィンスレット)がシャーロット(シアーシャ・ローナン)を笑顔で海にいざなうシーンがいい。とてもいい。映画なんてたったひとついいシーンやいい言葉があれば成立するんだと思う。この映画は極力セリフと音楽を除外して自然の音、風や海、鳥や虫の声を折り重ねる。そして小さな昆虫などのクローズアップを写して、人の社会の愚かさを示したりする。なんというセンス。

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大英博物館でメアリーが振り返るこのシーンもいいね。額縁に囲まれるメアリーの肖像。なにしろあの『タイタニック』で世界中を愛に包んだローズ(ケイト・ウィンスレット)が、こんなに手を汚して無表情で過ごす寂しい女性を演じるなんて1990年代に想像できただろうか。メリル・ストリープの正当なる後継者と言っても過言ではない演技力。

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シアーシャ・ローナンも『マンハッタン』からずっと追いかけている。彼女はある意味で自立した女性を演じ続ける。この映画では夫から虐げられて病気になった彼女をメアリーが救う。そしてこんどはメアリーのために尽くそうとする気丈な女性を演じている。

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