ライトハウス
ライトハウス 灯台のことですね。灯台守の話し。ホームページにこの映画の詳細がネタバレ覚悟でたくさん書いてあるので、そちらをお読み下さい。こんなしょうもないブログ読むんなら、ホームページがいいです。とても面白い。公開二日目の午後にシャンテで鑑賞しました。驚くことに満席でした。
灯台守というと日本だと木下恵介監督の『喜びも悲しみも幾歳月』となるわけですが、個人的にはアリシア・ヴィキャンデルとマイケル・ファスベンダー（この2人は実際に夫婦です。）の『光をくれた人』が思い出されます。これすごくいい映画で、子供のいない灯台守の夫婦のところに赤ちゃんが流されてくるんですけど、子供が育った頃に本当の母親が取り返しにやってくる、というお話。チャップリンの『キッド』から始まり、最近だと『朝が来る』なども同じような話ですけどね。あの映画の冒頭のシーンも海のシーンから始まるんですけど、とても美しい海なんです。きれいな海。もうあのシーン見ただけで素晴らしい映画だってわかるね。そして・・・
この映画は真逆の荒海が主人公です。荒れ狂う海。「ゴーン、ゴーン」となにかが反響する音と荒波の激しい音がぶつかる。このシーンでこの映画が戦いの映画なのがわかります。
荒海と灯台。このイメージですね。
Ａ２４がはなつインディペンデント映画の最高傑作ともいえるこの『ライトハウス』は、過去のあらゆる映画のいい部分をそっくり削ぎ落として、全く違う形で映画を表現しようとしています。挑戦的な映画です。何しろ画面のサイズが３５ミリですからほぼ真四角ですよ。ジャ・ジャンクーの『山河ノスタルジア』や最近だと『ＷＡＶＥＳ ウェイブス』でパート使用されているケースはありますが、真四角でモノクロを全編で貫いた映画って最近見ません。ブレッソンの『田舎司祭の日記』という古い映画みたときだって違和感ありましたからね。３５ミリに現代人は慣れてません。しかしこれがこの映画の狙いなんです。ワイド画面は広がりは感じるけど、人物への焦点がぶれるでしょ。だから敢えて画面の隅に人物を配したりするじゃないですか。つまり人物を写すのは３５ミリが適しているんですね。人物の表情がこの映画の価値を高めます。
しかもこの映画には登場人物がほとんど２人しか出てこない。すごいですよ、この２人の演技。極限の演技を求められたのではないでしょうか。ほとんど狂ってます。そしてお互いに罵り合うシーンばかりです。撮影も狂気的だったらしいです。３５ミリの四角い画面いっぱいにそれぞれの表情がぎっしりと示されるんです。
そしてこの映画、絵画なんです。ありとあらゆるシーンが絵画的なんですね。実際にサシャ・スナイダーやゴッホなどが描いた絵画をそのまま映像にしたようなシーンもあります。絵画に心得のある方だったら、あれもこれもと思い出すのでしょうね。
これから見る方もいるでしょうから、ここでは詳しいことは書きませんけど、２人しか出てこない密室劇で進むこの映画は、おそらく大勢の方が目を背けたくなるようなシーンばかりだと思います。隣の席の方がときどき椅子から腰が浮いてましたからね。もう目を覆いたくなるようなシーンの連続です。それはそれは恐ろしい限り。
ではなぜこのような映画がわざわざ作られなければならないのか？というのは、また別のサイトに書いてますので、もし時間があれば読んでいただければいいと思うんですけど、まあとにかくひどい。この残酷さに耐えられるか？というところから突破しないとこの映画を語れないんです。でもとても重要なことをこの映画は言おうとしています。いろいろな過去の神話などからのモチーフも重ねつつ、この映画が本当にいいたことは何か？監督のロバート・エガースはそれを”アイデンティティ”という言葉に集約していますね。これがヒント。
まぁあとはしょうもないことなので、時間があれば読んでみて下さい。興味がなければすぐに飛ばして下さいね。いつもありがとうございます。
(=^・^=)
「ライトハウス」 The Lighthouse
荒海と灯台のモチーフとは何か。
そして目を覆いたくなるようなこの映画が本当に言わんとしていることはなんだろうか？https://t.co/NNgofVRAiH #KINENOTE #キネマ旬報 #映画
— dalichoko (@chokobo88428241) July 11, 2021
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