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しょうもない

赤ひげ 午前十時の映画祭

幾度となく見た『赤ひげ』を午前十時の映画祭で鑑賞、日本橋のTOHOシネマ
劇場は満席です。一つおきの席ですが、ネット予約の時点で空席はほとんどありませんでした。年配のご同輩や先輩方でぎっしり。こみ上げるものがありますね。
大画面で見るドアップの俳優の表情や動きや音を体感しました。素晴らしかった。
この映画についてあれこれ言うのは意味がありません。というか黒沢映画を今更説明しても意味がない。とにかく黒澤明しか撮れない。同じ映画を撮ることは誰もできないという芸術映画だということです。それだけ。

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三船敏郎さんのこの眼差しを映画館の大スクリーンで見ることのドキドキ感。

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香川京子さんの狂女。この変化、その声、息遣い。

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根岸明美さんの長回しの一人芝居。父親のおぞましい死を「安楽だった」と語る赤ひげに驚く保本。

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山崎努さんと桑野みゆきさんのシーンは胸が締め付けられる思いでした。
そして後半は保本とおとよの関係。二人の成長を描くのね。

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この目の表情がすごい。二木てるみさん、当時14歳。
赤ひげが根気強くおとよに薬を飲ませるシーン。

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病が治りかけたときに保本を訪れる許嫁の妹役が内藤洋子さん。この役がなかなか決まらなくて、大変だったそうですね。酒井和歌子さんと接戦だったとか。

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おとよと長坊の心温まるやりとりは、二人がスクリーンに居合わせた瞬間から涙が止まらないのね。頭師佳孝さんの子役時代の演技がうまいことうまいこと。

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この映画を見ずに日本映画は語れませんね。

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黒澤明はこのあと日本で映画を撮ることができず、ハリウッドの失敗後、ロシアで新境地を見出して晩年の傑作を作りますが、この後黒澤映画で人物がこれほどクローズアップするシーンはほとんどなくなります。ある人物にフォーカスすることをやめて群像劇へと変化します。

ちなみに1965年、キネ旬1位はフェリーニの代表作『8 1/2』。黒澤とともに世界をリードしてきた巨匠ですね。『赤ひげ』は興行的にもこの年大ヒットを飛ばしました。

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