エッシャー通りの赤いポスト
こんな映画がまだ作れるのかと感動した。園子温監督の群像劇。ほとんど無名の俳優を集結させて、極めて政治的なドラマとして突きつけている。
いわゆるループものだ。『仮面』という映画のオーディションで役を狙う多くの市井の人々の群像劇。タイトルの意味などを推測すると、エッシャーは騙し絵で、赤いポストは目立つことの意味。誰にも知られない無名の人々が自分の存在を世間に示して目立ちたい、主役になりたいという意思の代名詞だ。そして『仮面』。これはベルイマンの映画『仮面ペルソナ』を連想させる。その後の多くの映画に影響を与えた先進的な映画。それは人の中にある多重性を意味する。仮面の裏側にある自分と社会の関係を表すものだ。
この低予算映画は、きっと大きな劇場にかかることはないだろう。しかし、園子温監督の意思に戦う姿勢がある以上、まだまだ映画は大丈夫なのではないか?と希望をもたせる映画だった。感動した!泣いた!そして怒りがこみ上げてくる。
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貼りました。みつけてみてくださいね。