偶然と想像
滝口竜介監督の作品に初めて触れる。
『偶然と想像』
3つの短編で構成される作品にはそれぞれの偶然と理屈っぽいセリフが重ねられる。そしていずれも黒沢清監督の影響もあるのかほとんど演技しない。棒読みのセリフ。そして映像とセリフの単調な焼増しのストレスをある偶然が開放してくれるというもの。この手法は小津安二郎を意識しているようで、結論はまるで違う。それぞれに印象深いシーンを重ね合わせる。もともと7つの短編を予定していたが、未完成のまま映画祭に出した作品だという。
第一話「魔法(よりもっと不確か)」タクシーの女性同士の会話が延々と繋がる。何が偶然か?はここに書くことはしないが、舞台劇のような単調な長い長い会話のあと、主人公のモデルの女性が想像を絶する行動に移る。そして最後、三人の空間が示される。急なズームに驚く。小津安二郎からヴィスコンティへ。
そしてさらに不思議なドラマ。
第ニ話「扉は開けたまま」
冒頭で学生が土下座するシーンと、その後の展開が予測不能。性的なシーンはまるでないのにセックスを描く。セックスというか性的な倒錯。この不思議な空間を教授の部屋の扉を開けて語られる。生徒の主婦は扉を締める。教授は扉を開ける。生徒は秘匿性の高いものだ。誰にでも他人に語ることができない心情を描こうとする。そして最後に偶然がもたらす恐ろしい結末。
第三話「もう一度」
仙台の駅前でエスカレーターがすれ違う。噛み合わないことがこの物語の主題だ。学生時代友達同士だった二人の偶然の再会。しかしこの偶然がまるで違う結末に誘おうとする。単調な二人の会話がまるで違う結末へと向かう。
ああ、偶然か。
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貼りました。みつけてみてくださいね。