レイジング・ファイア ベニー・チャン
ベニー・チャン監督の遺作となった『レイジング・ファイア』を鑑賞。驚くべき傑作だった。
正義を貫き、出世からも遠ざかり、汚職を徹底的に嫌う清廉潔白な刑事(ドニー・イェン)が主人公の映画なのだが、この映画は間違いなく敵役のニコラス・ツェーを軸とした映画だ。この敵役は、元同僚だったドニー・イェン演じるボン刑事の証言で、刑務所送りとなる元刑事ンゴ。ンゴが警察組織全体を敵にまわし徹底的に攻撃し、悪の限りを尽くす。元刑事という立場を利用して、徹底的な悪役に徹する。
しかしこの悪役には理由がある。彼は国家権力と権力を支持する財界(巨大企業)の罠にはめられたのだ。このあたりの表現は実にうまくて、昨今の香港情勢をにじませる。言論統制や弾圧を強める香港政府に対する意思表示ともとれるこの映画は、単なる刑事もののアクション映画ではない。これは政治を語る映画なのだ。
しかしそんなことを忘れさせるものすごいアクションシーンは、少し前に見た『ただ悪より救いたまえ』にも重なるような迫力だった。爆発シーンだけでなく、対決シーンもとてつもない迫力だ。見応え十分、時間を忘れさせる映画だった。
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貼りました。みつけてみてくださいね。