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しょうもない

ロイヤル・トリートメント リック・ジェイコブソン

若き監督のリック・ジェイコブソンTVシリーズなどの演出を経て、この映画を演出したらしい。なかなか愛らしい映画。単なるラブコメでもない。
美しいローラ・マラノ演じる主人公はニューヨークの下町で家族や友人と美容院を営むが必ずしも安定していない。そこに間違ってラバニアという架空の国の王子と縁が生まれる。王子役は『アラジン』で好演したメナ・マスード。彼はエジプト系カナダ人で、エジプト系というとラミ・マレックが連想される。美容院のあるマンハッタンは、『イン・ザ・ハイツ』が重なる。

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ローラ・マラノ演じるリジーが、たまたの縁でこのラバニア国の王子の結婚式にヘアカット・デザイナーとして招かれる。この縁に影響しているのが実は執事のウォルターでキャメロン・ローディスというニュージーランド人の俳優が演じている。『ロード・オブ・ザ・リング』にも出演している。彼はまるで『ダウントン・アビー』のベテラン執事チャーリー・カーソンのようだ。ジム・カーター雰囲気も近い。

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この執事ウォルターに注目してみると、最後の最後にとてつもない感動がやってくる。彼がなぜ市民である美容師のイジーを支え、王子の気持ちが揺れ動くことを後押しするのかが明かされる。そしてキャメロン・ローディスの国であるニュージーランドが実はこの映画の撮影場所として使われているのもいい。

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ダニーデンにある小ぶりなお城を舞台にしたシーンの風景がとにかく素晴らしい。この風景をみるだけでも価値がある。ニュージーランドは映画のロケでもよく使われる国で、『ロード・オブ・ザ・リング』だけでなく『ラスト・サムライ』などの撮影にも使われた。最近だとジェーン・カンピオンの『パワー・オブ・ザ・ドッグ』のニュージーランドで撮影された。

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この映画は、国のトップの目が届かない貧しい人々の明るい生活を対比させて、格差と愚かな国のトップとの違いを際立たせる。奇しくもメナ・マスードが出演して大ヒットした『アラジン』とも重なるテーマを示そうとしている。

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美しい風景と格差とジェンダーと、様々なテーマを笑いで優しく包み込む美しい映画だ。
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