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しょうもない

SING シング:ネクストステージ ガース・ジェニングス 

偉大なるブライアン・イーノがプロデュースした多くの偉大なアーチストの中にU2がいる。ちなみにブライアン・イーノというとその幅広い活躍ぶりはあまり知られていないかもしれないが、彼の専門は環境音楽だ。美術館とかに行くと彼の音楽が流れたりしている。音と音楽の境界線を研究する姿勢は日本の偉大なる音楽家武満徹の活動を連想する。イーノが初期に組んだアーチストにはロバート・フィリップやデビッド・ボウイがいる。
 
そしてイーノが1980年代中盤からプロデュースしたU2が残した偉大な痕跡は、祖国アイルランドを中心に世界中に影響しリスペクトされている。そのU2の数ある楽曲の中でも極めて重要な曲のひとつが、今回見た『SING シング:ネクストステージ』の主題だったようだ。このアニメでボノが重要な役を演じている。

ここまで書くとほとんどネタバレとなるので注意していただきたいのだが、ほとんどこのシーンでこの映画の全てが説明できる。この『終わりなき旅” I Still Haven't Found What I'm Looking For”が流れてきて、そしてこの曲を歌うことを躊躇するライオン。仕方なくハリネズミがひとりで歌い始めるとなんと・・・
もうここで筆者は涙ぼろぼろ。(このところ涙腺の修復が追いつかない)あのシーンだけを切り取ってもこの映画のとてつもない価値を感じさせる。この曲にはこういうフレーズがある。

I believe in the Kingdom come
Then all the colours will bleed into one
Bleed into one
But yes, I'm still running
You broke the bonds
And you loosed the chains
Carried the cross of my shame
Oh my shame, you know I believe it 

But I still haven't found what I'm looling for

Then all the colours will bleed into one そして全ての色がひとつになる。
このカラーズの意味は、シンディ・ローパーの「トゥルー・カラーズ」にも同期していないだろうか。
この映画のガース・ジェニングスは、前作の『SING/シング』で主人公のバスターが自分の劇場を再興していったん役割を終えた。あの映画が公開されたのが2016年だ。しかしその後、アメリカは劇的に変化した。大統領が変わっただけなのに、アメリカだけでなくアメリカを軸として多くの国が保守化して弱者を切り捨て、人種の隔たりや格差も大きくなる。オバマ政権のときに、黒人についての多くの映画が作られたことを思うと逆風の時代が続く。ガース・ジェニングスがそれを前提としてこの続編を作ったかどうかは定かでない。しかし、この映画ではバスターを中心に大劇場を目指すと、そこには独裁者が君臨している。そして自分の娘を劇の中心に据えるように命じるのだ。これはまるで、あの大統領と同じではないか。

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結論をここで書くことは控えよう。しかし、わざわざこのドラマを作ったつくり手の意思を考えたい。時代は大きく変化する。分断と独裁がはびこる世の中で、夢を抱いて生きるアーチストもまた生きる術を失っている。そんな彼らを救うのは誰か?という話である。U2のこの楽曲には聖書を思わせる部分もある。邪悪なものに対する救い。U2が宗教対立を題材にしたアルバムをリリースしたことも、この映画のこのシーンに込められている。いずれにしてもこの感動を言葉や文字で説明するのは愚の骨頂だ。映画を見ればわかることだ。
冒頭からプリンスの曲などで容赦なく観客をリードする激しい展開。音楽だけでなくダンスシーンも相当練って作られていることがわかる。
吹替版を上映する劇場が圧倒的に多く、それはそれできっと素晴らしいのだろうが、敢えてここはボノの声であの曲を聞くべきだろう。その声に我々は圧倒され感動は倍加するはずだ。

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