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しょうもない

レバノン الجمهوريّة اللبنانيّة

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元日産のゴーン氏が潜伏しているベイルートレバノン)だが、なかなかこの国のことを我々は知る機会がない。場所はシリアとイスラエルに囲まれた小さな国である。

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最近見た映画に『判決、ふたつの希望』という作品があって、これがなかなか考えさせられる裁判劇だった。レバノンは半数がキリスト教信者で、残りの半数がイスラム教なのだが、スンニ派シーア派という仲の悪い信者が錯そうしているらしい。映画ではレバノンに住むキリスト教の修理工とパレスチナから不法就労レバノンに来ている工事現場監督が喧嘩するところから物語が始まる。謝る謝らないという喧嘩が「お前なんかシャロンに殺されればよかったんだ!」という修理工のひとことで、政治を巻き込む大事件となり、傍聴席でお互いの思想信条をぶつけあう者たちが場外乱闘するというドラマなのだ。原題は「侮辱」である。

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かたや『存在のない子供たち』という映画も、形を変えた裁判劇である。これもまたレバノンの映画。家出した幼い子供が路頭に迷いながら、紆余曲折があって赤ん坊を引き取るはめになる。生きるか死ぬかの路上生活の果てに弁護士に拾われて、彼は自分の親を訴える。自分を生んだ罪で訴えるのだ。これもまた苦しい映画だった。

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特に『判決、ふたつの希望』という映画は、過去の虐殺を目で見える状態にして終わろうとする。パレスチナ人の虐殺とイスラエルパレスチナ人を虐殺することなど、憎しみと憎しみが重なる重層的な物語だ。『存在のない子供たち』は大人が子供に生きることの意味を説明できない状態を作る。

 

これは大変なことだ。

 

レバノンにシリアとイスラエルの難民が押し寄せて、治安が悪化していることをこの2本の映画はしっかりと世界に示している。そしてその先には貧困の下地には憎しみの連鎖がうごめいていることも意識させるのだ。我々はこれらの実情を見て、何もできない。