2020-01-01から1年間の記事一覧
草思社文庫から2016年8月8日に初版として出された本。 「完本 天気待ち 監督・黒澤明とともに」 黒澤組最後の生き残りとされる野上照代さんの本。実にユニークで面白い本だった。 ちなみにイラストも野上照代さんが描いている。 かねて野上さんが出さ…
『ホモ・サピエンスの涙』や『燃ゆる女の肖像』など、ほぼ無音の映画を連続して堪能した対岸で、テレンス・マリックの音楽で満ちた映画に接する。 2017年にアメリカで公開されながら、日本で公開されるまで3年かかったテレンス・マリックの秀作『ソング…
充実したNetflixのプログラムについつい乗せられて、最近は家の目の前にあるゲオにも行かない。娘が漫画を借りる程度になってしまった。トレンドとは恐ろしい。経済がゴソッと動いてしまう。大手の映画会社もコンテンツ不足で悩ましい中、VODがこ…
テレビは全くといっていいほど見ない主義なのだが、今回は日本に数少ない国際俳優が2名出演するというので『逃亡者』を”必死に”見てしまった。そう、大昔ウィリアム・ワイラーの『必死の逃亡者(The Desperate Hours)』という映画もあったが、あれとこれは…
Laughter on the 23rd Floor 『おかしな2人』や『名探偵登場』、『グッバイガール』の脚本家などであまりにも有名なニール・サイモンの戯曲を三谷幸喜さんの演出で公演された。余談だが、三谷幸喜さんの劇団”東京サンシャインボーイズ”はニール・サイモンの…
Netflix映画の脅威と恐怖を感じさせる。 過去の映画会社がとても資本を捻出しないような芸術系の作品に投資するセンス。アメリカ以外の国にも惜しげなく投資を繰り返し世界に波及するNetflix。 スペイン映画のこの『日曜日の憂鬱』は、ことによると市場には…
素晴らしい企画だったと思う。 それぞれの作家の作品で、国内で分散されている作品を集結させて歴史をなぞる。その変化を探る意味でも極めて優れた企画であった。面白かった。 そしてアートが戦争の世紀といわれる20世紀でどのように変化したか?と問う企…
基本的にシリーズものは見ないのだが、町山智浩さんがこのドラマを推薦されてたので、つられて見てしまった。(映画ムダ話でも扱ってます。)すごい面白い! なかなかよくできたドラマで、このクオリティーを苦もなく見ることができるとは驚きだ。そして『ハ…
満天の星に、創造の原石たちも輝く -カワル ガワル ヒロガル セカイ- そもそも”アウトサイダー・アート”について知らなかった。渋谷の公園ギャラリーに寄る。のんさんの音声ガイドを無料で聞くことができる。 驚くことばかりだ。驚きの連続。例えば、渡邊…
時々言われることだが、映画を見ていてがっかりすることというと、ひとつは音楽だ。強引に音楽で見る側の感情を掻き立てるのは罪だろう。これは黒澤明がルーカスやスピルバーグに伝えたことだが、なかなか理解されなかったようで、大ヒットしたアベンジャー…
LUDO ~4つの物語~ 恐らく世界で初めてコロナ(covid19)を映画のセリフに埋め込んだ映画ではないだろうか。とにかく素晴らしい。極上のエンターテインメント。そして群像劇。 冒頭、ボリウッドのスーパースターアミダーブ・バッチャンのナレーションで意味…
”日本映画の未来”という意味で、是枝裕和監督が昨今の映画事情について東京国際映画祭のインタビューに応じた内容が興味深い。 ひとつは「東京国際映画祭が世界の国際映画祭と比較して見劣りする。」ということと、「コロナ渦で経営の厳しいミニシアターを救…
昨日ランチしてたら、ある地方都市で不幸があってでかけたとき、東京から出向いたというだけで白い目で見られた、という話。ある方は家に卵や石を投げつけられたという。GoToキャンペーンも注意しないといけない。”東京=コロナ”というイメージの連鎖がある…
感動で打ち震えて涙が止まらない。 葉室麟さんのことをほとんど知らない中で、幾度か葉室さんの作品を読むにつれ、彼の優しさとぶれない軸のようなものを感じさせてくれる。いまもはや晩年を過ごそうとする身である自分にも、残り少ない命の時間を示してくれ…
かつて見たアカデミー賞作品賞を受賞したアルフレッド・ヒッチコックの『レベッカ』は1940年に公開された映画。もちろんモノクロ映画だったわけだが、意図的にぼやけた映像がこのドラマをどこか見えない重苦しい世界にいざなうものだった。 あれから80…
3つの展示を一気に見せる豪華な美術館だった。とても満足した。 美術館に行く行為は旅に似ていると思う。 そしてかつて旅した色々な場所が思い起こされる。 瀬戸内海だったり、養老渓谷だったり、飛騨高山だったり、高松、三重の津、佐久島、金沢、豊田市、…
正式なタイトルは『マンションの老いるショック!』(松本洋著、日本橋出版)である。 分譲マンションを取り巻く環境。それはマンションが”都市化”の代表例という意味で、現状の日本全体を象徴するような内容で興味深い。 バブル期をピークに住宅の資産価値…
映画として優れた作品だった。日本映画は衰退の一途を邁進し加速させているが、このドキュメンタリーという分野である種の可能性を残しているように思える。 これは素晴らしい映画だった。日本映画だ。プロデューサーは大島渚監督の次男大島新氏。感動で涙が…
東京に戻ってきて心から嬉しく思うことは、アートに接する機会に恵まれていることだ。展示が充実していることもさることながら、その空間も楽しめる。たまに一人で過ごす時間もまた空間とともに永遠を感じさせる。 竹橋の国立近代美術館に向かい終わり間近の…
少し前に従兄弟と再会して久々に食事したら、親の面倒が大変だと言っていた。お互いの祖先を同じくする者同士、慰め合うような話題になった。しかも彼は、奥さんにお父さん(自分からすると叔父さん)の世話をさせている引け目がある。 彼には弟と妹がいて、…
アートに限ることではないが、文学も音楽も小説も映画も、いずれも売れるから作る者がいる・・・という前提条件は需給の関係だ。どんな素晴らしい作品があっても売れなければ経済として成り立たない。そして経済が大きくなればなるほど利益は逓減していゆく…
つまらなかった。というかノーランとは相性がよくないのだと思う。 この映画に200億円が投じられ、その三倍の興行収入がないとペイできなという途方も無い現実を聞かされても全く実感がない。 ポスター/スチール写真 アクリルフォトスタンド入り A4 パタ…
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大学ラグビー最終年のエリート大学生が女子と付き合いはじめてから”破局”を迎えるまでの一連の経過を淡々と描く。見えないジレンマが主人公に存在する。 破局【電子書籍】[ 遠野遥 ]価格: 1540 円楽天で詳細を見る このラガーマンは筋力を維持するために体を…
オラファー・エリアソン展 東京都現代美術館 展覧会のタイトルから、川という流動的で実態のないものが、橋という具体(物体)に変化する過程や課題を取り扱う目的と察する。その圧倒的なコンセプトの明快さに心を打たれる。作品そのものは常に見る側へ問か…
第163回芥川賞作品、『首里の馬』。高山羽根子氏は3回目での受賞だとか。 首里の馬【電子書籍】[ 高山羽根子 ]価格: 1375 円楽天で詳細を見る 主人公の未名子は沖縄のある個人資料館でただひたすら資料の整理をしている。ドラマの始まりはこの沖縄の個人…
岩竹美加子著 新潮新書 ブロトピ:映画ブログの更新をブロトピしましょう! たまたま本屋で手にして買ってみたら、とても面白かった。 この本とコロナの影響が少ない北欧の事情に比して、新自由主義経済を闊歩してきた大国のダメージは大きい。そのことはま…
ブロトピ:映画ブログの更新をブロトピしましょう! スウェーデンから独立したアイスランドという国の話で、1950年代から続く”ユーロヴィジョン”というコンテスト(歌合戦)への出場を夢見る男女の話。俳優には著名人を並べ、日本ではあまり馴染みのない…
戦争映画、というか戦争に対する嫌悪感から”戦争”名のつくものに思い入れが薄い。闇雲に「戦争は悪だ」とか「戦争は嫌いだ」という理由で、戦争にまつわる情報を避けてきた自分がいて、映画についても同様であった。少なからず戦争を美化することだけは避け…
町山智浩さんのラジオ番組を聞いて、さらにBSの特集番組で小林克也さんとの対談で、この映画について触れていた。ひとつはマービン・ゲイのこと。映画の中で彼のデビュー曲がさり気なく使われているのだが、”Inner City Blues”という曲は「金がなくて税金が…