アーティゾン美術館
3つの展示を一気に見せる豪華な美術館だった。とても満足した。
美術館に行く行為は旅に似ていると思う。
そしてかつて旅した色々な場所が思い起こされる。
東京に戻ってくると旅を終えたような気持ちになる。なぜなら東京にいればどんなアートも体験できる。近場の散歩で感動できる。
このアーティゾン美術館もまたそうだ。おそらく初めて寄る美術館だと思う。
この日の鴻池朋子さんの作品には心から感動した。
彼女もまた瀬戸の美術祭に参加している。その時の作品のエピソードには胸が締め付けられた。ハンセン病患者を隔離していた島があったらしい。今はもう荒れ果てたその島に道を作り、自らの作品を展示するという彼女の姿勢に共感する。これもまた旅の一種だろうか。鴻池さんとともに旅する感覚。
『宇宙の卵』プロジェクトはヴェネチアまで飛んでゆく。そうだ、いつかは海外の美術館にも行ってみたい。そしてこの作品は、一人の作品ではなく、複数の専門家が知性を寄せ合って生み出した卵。これをヴェネチアから日本に持ち帰ってきた。そして作品の中に入り込んで、自分もまたヴェネチアに行ってきた気持ちになる。これもまた素晴らしい作品である。
芸術なんてなんの価値もない。そう思う。
そして世の中はすべて金でしか価値を比較することができないとも思う。
なのになぜ人は旅するように芸術に触れたくなるのか。映画だってそうだ。目先の自分ではなく世界中から、あるいはもっと広い宇宙から自分を見下ろすような気持ちにさせる芸術に金を払って寄り添うのは、誰もが旅人だからではないか。
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