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しょうもない

村上海賊の娘 和田竜著

正直言うと、がっかりした。いや、ドラマとしては面白いし、マンガにもなったほどなのできっと映画にもなるでしょう。極めてドラマチックに描かれたこのドラマはとても読みやすくてぐいぐい惹き込まれるのですが、自分には合わなかった。その理由はのちほど。

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和田竜さんは、膨大な量の情報のノンフィクションの中から、ぎりぎりの想像力を生かしてフィクションを描いているのでしょうか。村上水軍もあった、そこに女性のボスらしき人物もいた、信長の兵糧攻めを凌ぐのに実際に海を使って兵糧を搬送した。しかしそこで交わされた会話などについては間違いなく作り物です。そこが面白いといえば面白いんでしょうね。映画『のぼうの城』を見たことなどを思い返すとそう思います。
 
なんといっても個人的にこの本がとても面白いと思わせたのは、過去の歴史書から、知られざる証拠が示されているところです。ロドリーゲスの『日本教会史』によれば、”日本人は異国人に多大な歓待と好意を示した”とか、『歎異抄』にまつわる解説などはうなりました。親鸞の教えと”異”なる解釈が生まれたことを”歎(なげ)”いて唯円が書いたのが『歎異抄』だとか、こういうネタってとてもわくわくします。
 
食事のシーンも多いドラマですが、当時は醤油がそれほど普及しておらず、刺し身は酢で食した、というのも驚きでした。
 
ただですね、この主人公の女性船首”景(きょう)”を中心とする会話。この会話があまりにも稚拙に感じるんですよね。読んでて苦痛でした。こんな会話など絶対になかっただろうという会話。いわゆる現代語に落としてセリフが作られている。これはたぶん『のぼうの城』も同じでしょう。あの映画の違和感はそれだったかな。もう苦痛で苦痛で読むに耐えられませんでした。苦しかった。

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でもこれは和田竜さんが意図してそうしていることであって、決してこれを稚拙な小説とまでは言いません。本屋大賞を獲得しただけの作品だし、表現のわかりやすさは、我々が幼い頃に江戸川乱歩横溝正史を読んだことと同じだと思います。
 
 
 

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