キネマ旬報ベストテンが今年も発表になって、外国映画は評論家も読者も『ジョーカー』を1位に選出した。これは素晴らしい結果だったと思う。それほどこの映画が時代を反映したということだ。フィクションなのに。
『ジョーカー』については別の記事で書いたので省略するが、評論家、読者ともに格差や差別や偏見についての作品を選出した傾向が読み取れる。
中でも、個人的にはイ・チャンドンの『バーニング 劇場版』が印象的だった。あの映画は過去と未来をつなぐ分水嶺ともなるようなすごい映画で、村上龍の原作をなぞりながら、ポン・ジュノの傑作『パラサイト 半地下の家族』へと結ぶ時代の変節をも背負っているような映画に感じた。素晴らしい映画だった。
対して、ベストテンにランキングされる日本映画を1本も鑑賞していない。これは個人史的にほぼ初めてのことかもしれない。これからDVDなどで確認してゆくつもりだが、日本映画が映画館に足を運ばせるに足りる作品を作り得ていない、という実情を示しているような気もする。心から残念に思う。日本映画はアニメが上位にこないと成り立たない。少なくともキネ旬の評論家も読者も、アニメのクオリティを確信していない。昨年でいえば『天気の子』がギリギリということだろう。是枝裕和監督のフランス映画も評価という意味では撃沈したようだ。
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