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しょうもない

ルワンダ中央銀行総裁日記 服部正也著

三軒茶屋まで観劇に行った日、同じビルにあるツタヤ書店に山積みになっている本があった。たまたまダーリンがルワンダの子どもたちと会話する機会があった後だったので、無意識に衝動買いしてしまった。読み終えた感想は”苦しかった”である。極めて専門的な本で、まさに一国の中央銀行総裁による歴史を大局的に語る本であり、その膨大な量とドラマ性のコングロマリットを受け入れるような内容である。とにかくすごい。
 

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著者が日本銀行からIMFを経由して、途上国のルワンダ中央銀行総裁就任を打診されるところから話しは始まる。ルワンダに限らず、アフリカ大陸の多くがかつてベルギーの植民地だったことを知る。
 
前任の中銀総裁が半ば職場放棄のように去った後に就任した著者の苦悩の日々がつぶさに記録されるこの本では、「ルワンダ人は怠け者だ」という世間的な認識と事実関係の確認で、その原因を探ってゆく。彼らは怠け者なのではなく、他国の政治家などに怠け者にされていた、という事実が明らかになってくる。
 
コーヒー栽培における生産性を掘り下げ、豊作になると損をする仕組みなどを見据え、一定程度の生産者価格を定め身分を保証し、働けば栄える、という意識を農民に広く受け付けるなどの政策を敢行する。これは中銀としての仕事というより、政治家の仕事だ。しかし今の日本に置き換えても、政治家がいかに社会を見ていないか、という疑問を40年以上前の服部氏の体験談から読み取ることができる。
 
服部氏は、ルワンダ人の変化。服装や生活の変化までも見据えて、将来像を少しずつ示す。そして諸外国との交渉では、つねにルワンダの利益を重視した姿勢を貫いている。これは銀行家という一定の職種に限らず、社会貢献をする者の共通の認識として維持されるべきドラマであり、名著だと思う。
 
 

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