シン・エヴァンゲリオン劇場版
去年だったか、まだ名古屋に住んでる頃、駅前にでかいモニターが掲げられ、冒頭のシーンを公開した予告編が流されたのは。あれから約1年、前作「Q」から9年か。しかも予定の公開もコロナのおかげでさらに延びて、やっとの公開となると、長年のファンにはたまらないほど待たされたことだろう。
平日の午前中なのに劇場は満席。当日券を手にして来られたお客さんは、ペアでも別々の席に座るほどだ。少なくともMX4Dの劇場に空席は見当たらなかった。
荷物は足元に置けないことが入り口で案内され、近くのコインロッカーに預けることになる。これは正解。この劇場はアトラクションだ。155分の長いアトラクションを楽しむことになる。それはそれはすごい揺れだった。
存在しないはずの綾波レイが前半で、名前のないそっくりさんとして小さなドラマが進む。ここは庵野秀明ワールドで哲学的。時代とともにいろんなドラマが展開した記憶に相変わらずぐずぐずしている碇シンジがぼさっと横たわる。マジでうざい男だ。
その間、マリとアスカは自分の仕事を淡々と進める。この二人のコンセプトはとても強く魅力的だ。彼女たちの戦闘シーンはこの映画の大きな部分を占める。
ネタバレはできないが、まぁとにかく庵野秀明ワールドと、このぐずぐずと流れる時間がここで一気に吐き出されることになる。エヴァンゲリオンという命なき形に人の歴史と感情が交錯し、このシリーズとこのドラマの根底にあるものが最後の最後で明かされる。
とにかく映像と構成が素晴らしく、被写体となる人物を遠近法でほかの人物や物を画面の隅に配置するなど、画面の迫力と美しさを見続けるだけで大いに満足できる作りになっている。
テレビシリーズが始まったのは1995年頃か。この頃はまだエヴァを知らなかった。当時自分は32歳。小さい子供が生まれておたおたしていた頃だ。その後ビデオなどでこのシリーズを一通り追随した頃、2007年の劇場版となる。しかしまだ劇場でこれを鑑賞していない。当時44歳。仕事仕事仕事の毎日だったな。
長くシリーズを追うことは即ち、自分の歴史と重ねることだ。子供も大きくなって、子供と一緒にこのシリーズを追うことになるとは夢にも思わなかった。エヴァ哲学の中にどんどん引き込まれる自分を重ねる映画でもあった。
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