ボイス+パレルモ
難解なボイスの展示を久しぶりに鑑賞できてとても良かった。本当に良かった。
本展はヨーゼフ・ボイスと弟子のブリンキー・パレルモの共同企画。場所は北浦和駅の近くにある近代美術館。この2人は必ずしも仲が良かったわけではないそうですが、ボイスがパレルモを高く評価していたというコメントを受けて、10年ぶりに日本でボイスを回顧する展示が巡業中です。
ボイスの代表作とも言われる「ユーラシアの杖」は日本初公開。そしてこの作品の制作風景が映像で流されるエリアもあって充実しています。インスタレーションはほかに「シベリア横断鉄道」などもあって刺激的です。ボイスが作品を組み立ててゆく過程で、一瞬だけ二重写しになる瞬間があって、床に描かれた1本の線が2本のレールになるんです。その一瞬だけ。
時代はまだ東西冷戦の時代で、ボイス自身がヒトラー・ユーゲントとして従軍経験がある中、その後の彼の活動は分断された社会を経済的に見つめるものだったと思います。一輪のバラの花を差したビーカーは「直接民主制の為のバラ」と題するものです。
こちらは「小さな発電所」これもまたわかりにくい作品ですね。この展示は、作品それぞれの意味はあまり解説せず、周辺の時代背景を少し紹介するだけでまるで具体的ではありません。そうそう、なつかしのコヨーテの映像も紹介されてました。「死んだうさぎに絵を説明する方法」などは見ていて具合悪くなってきそうです。
このパフォーマンスを街頭に集まる人々がおかしげに見物するんです。こうした意味不明の行動こそボイスの真実ですね。彼は当時の社会矛盾に徹底抗戦を仕掛けます。経済や宗教や生と死。とにかくあらゆる二分するものへの飽くなき挑戦が彼の生涯のテーマでした。
彼が亡くなってから四半世紀が経ったいま、ボイスの問いに我々はどのように応じることができるでしょうか。彼の願ったいわゆる東西冷戦は終わりベルリンの壁も今はありません。そして当時からすると想像もできない夢のようなグローバル化が進み、ヨーロッパはEUとなり、通貨もユーロで統一されました。
彼の残した言葉に「ほんとうの資本は人の持つ創造性である。」の意味は普遍的です。当時のジレンマは消え、ネットの普及で世界はまるで一つになったかのように思えます。しかしここにきてコロナによる分断が進み、それは地球環境が人間に対して警鐘を鳴らしているかのようです。それはボイスの生涯のテーマ「環境と共生」に結びつきます。彼の生きた時代とはまるで社会は変わってしまった。しかし、直面する問題は何一つ解決されておらず、むしろますます深刻の度を増しているようにも思えます。
いまあらためて、この難解なボイスとパレルモの作品と、我々は対峙する必要に迫られているのではないでしょうか。「もっと深く考えよ。」とこの2人は言っているようです。
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