映画に神が宿るといわれる所以は、編集だといわれる。この映画もまた不思議な編集効果によって、映画そのものが時代性を示している。『
キネマの神様』
山田洋次監督が89歳だと聞いて、この映画がどれだけ貴重なものなのかを感じさせる。そして登場人物の描写が伝統的な松竹のそれなのだ。松竹
ホームドラマの伝統は、いま100年の時を超えて継承されていると感じさせる。極めてシンプル。現実には存在しないようなシンプルな人たちが”映画”をテーマにして結実する。
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ギャンブルとアルコールに依存する老人は、かつて映画監督を目指していた。そして妻はそんな夫を生涯支え続けた。当時この二人が結ばれるまでの恋愛関係と、落ちぶれた現在を対比させる。
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映画愛に溢れたこの映画で最も魅力を感じさせるのが、
北川景子さんが演じる当時の大女優、
原節子さんをダブらせた女性が愛のキューピットとなる。現在の主人公、
沢田研二さんが演じる老人が映画館で昔の映画を見ていると、この女優がスクリーンから飛び出して彼の隣の席に座る。これ
ウディ・アレンの『
カイロの紫のバラ』である。
バスター・キートンの『探偵学入門』である。もちろん
原田マハさんの原作によるものだろうが、映画を見てきたものとしてこういうシーンはたまらなく嬉しい。
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この二人と深い関係の映画技師がいて
小林稔侍さんが演じているのだが、
キートンの『探偵学入門』も映画技師の話ではなかったか。
宮本信子さんを含めて、高齢の俳優が実にいい。もしこれを
志村けんさんが演じていたらどうだろう、と想像するのはやめておこう。どの俳優も素晴らしい演技だったと思う。
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映画館は老若男女で満席だった。
(=^・^=)
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