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しょうもない

世界で一番美しい少年 クリスティアン・ペトリ

まずはこの映画を監督したクリスティアン・ペトリのインタビューが紹介されている。ここでペトリは正直にすべてのことを解説している。

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ペトリはとても知的で冷静にこの映画についていくつかのインタビューで語っていて、ひとことでこの映画を「美への強迫観念」とくくっている。ヴィスコンティがもらしたタイトルの言葉だけが独り歩きして、一人の少年の人生をとてつもなく高みに押し上げ転落させる。名声が極めて危険なもので、その破壊のメカニズムをこの映画で示しているのだ。また、『ミッドサマー』で”崖から飛び降りる老人”を演じたのは偶然ではなく、名声を得て死ぬほど苦悩した少年のが『ベニスに死す』と呼応することのメタファーではないかと語っている。考えてみればアッシェンバッハが海辺で感染病にかかって死ぬことと、ミッドサマーが崖の高いところから老人が飛び降りて死ぬことは、広く考えれば同じだ。

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人生の破滅がコインの裏表のように背中合わせであることは、どんな場合でもありうることだ。日本に来日して金目当ての資本が美しい少年を消費するまでの軌跡と、その後の転落しゆく人生の反転は、まさにペトリがいう「破壊」そのものだ。

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この映画はあらゆる意味でドラマチックに構成されている。そして彼が振り返ってみる自分が少年だったころのことがラストシーンに示される。彼が残した痕跡としての『ベニスに死す』は、まさに死を捉える傑作だが、主人公のアッシェンバッハを破壊し、死へといざなった少年が老人になって自分がたたずんだあの海を見るという残酷なシーンで終わる。しかしこの残酷なシーンのわずかなショットが、実はこの映画が「生きること」への希望を示すものであることを知らせてくれる。ここはヴィスコンティの『ベニスに死す』と見比べて頂きたい。
 
KINENOTEに残したレビューはこちら。『世界で一番美しい少年
(=^・^=)
 

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