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しょうもない

スイート・シング Sweet Thing

鳥肌の立つような感動を呼び起こす映画だった。『スイート・シング』
この映画を見ずして今年の映画を語ることはできないだろう。『イン・ザ・スープ』のアレクサンダー・ロックウェル監督の新作が日本で公開された。新作といっても、昨年の東京国際映画祭で高い評価を得て、世界各地の映画祭の受賞歴を経て、やっと日本でも公開に至ったものだ。少し長いのだが、ロックウェル監督のインタビューを聞くと、この映画の印象と価値がさらに高まる。
 
これから映画を見る方には、フラットな気持ちで映画を見てほしいと思う。それほどこの映画はピュアだ。主人公の少女ビリーとその弟ニコは、しょうもない世界で貧しい生活をしている。ただそれだけの映画だ。この純真な二人の子供と、純真というにはあまりにも頼りないアル中の父親との葛藤が冒頭で描かれる。

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この父親はまるで『ジョーカー』だ。こう説明すれば、先ごろ町山智浩さんが書かれた「それでも映画は格差を描く」という本へとつながる映画であることがわかるだろう。これはまさにアメリカの社会の片隅で起きている現実だ。

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この姉弟にたまたま出会ったマリクという少年の3人のロードムービーは、不安定な状況を自分たちなりに楽しく過ごす映画だ。ここはまるで『スタンド・バイ・ミー』のようだ。しかしこの三人には『スタンド・バイ・ミー』に出てくる少年たちのような基盤すらない。彼らは親や大人からの虐待から逃走しているのである。逃走とは自由。彼らを抑圧するものは、格差社会の現実なのである。

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主人公の少女と弟の少年、そしてこの二人が頼ろうとする実の母親は、ロックウェル監督の本当の家族だ。本当の家族を映像の中で表現することに難しさを感じさせながら、想像を絶するような美しい映像が放たれる。インディペンデンス映画は限られた予算で世界を巡る。そしてこうした上質な映画の続きがあるとしたら、その未来は見る側に託されていると思う。もっと広くこうした映画が大勢の人に伝わることを祈る。
月並みだが、とにかく素晴らしい映画だ。感動に打ち震えた。
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