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しょうもない

パワー・オブ・ザ・ドッグ Netflix

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ニュージーランド人のジェーン・カンピオン監督が作り上げた『パワー・オブ・ザ・ドッグ』をNetflixで鑑賞。『ピアノ・レッスン』で世界にその名を轟かせたカンピオン監督がまさに”作り上げた”というのに相応しい苦労をされて出来上がった傑作だ。コロカ渦で4ヶ月の撮影中断をはさみ、映画そのものがお蔵入りする懸念の中で、スタッフやキャストが撮影地のニュージーランドに残って撮影を続行したという。そうした苦労を映画の中に見出すことはできないが、冷静で冷徹ともいえる徹底した美へのこだわりを感じさせる。
1925年頃のモンタナが舞台。主人公はカンバーパッチが演じるカウボーイ。このフィルという男は、まさに男。女性を嫌い女々しい男をも嫌う。弟の妻として嫁いできたキルスティン・ダンスト演じるローズと彼女の連れ子ピーターにフィルは徹底的に嫌悪を示す。前半はこの苦痛に耐える映画となっている。フィルが女性を虐げる。屈辱を受けるローズとピーターという関係が延々と示される。これでもかというほどの苦痛。
ふと前日鑑賞した『ナイト・イン・ザ・ソーホー』が重なる。あの映画も女性が虐げられる映画。『Swallow スワロウ』という映画もそうだが、極めて美しい映像に虐待される女性を重ねるという手法はインパクトが強い。女性監督のカンピオン監督が、モンタナの風景をロケ地のニュージーランドの美しい映像に重ねてこの映画を撮った狙いが伝わる。しかしこの映画の風景は男性的だ。そしてこの風景にもまた深い意味があり、後半で明らかとなってくる。
フィルに追い込まれたローズがアルコールに依存してゆくさまもリアルだ。家に閉じ込められた女性のストレス。彼女は得意のピアノを弾くこともできないほどのストレスの果てに、捨てられた瓶からアルコールを舐めるほどおちぶれてゆく。
見かねた女性的な雰囲気の息子ピーターは、周囲から嘲笑されながらも、フィルの男らしい姿勢に近づこうと努力を始める。そして少しずつフィルの信頼を得て、お互いの信頼が築かれてゆくのだが・・・
この映画は愛のカタチを問う。男性の女性に対する愛だけではなく、男と男の友情を超えた関係もまたこの映画のテーマになっている。そして驚くべきラストへ繋がってゆくのだが、このラストには言葉を失う。この衝撃のラストは単純ではない。この美しい映画の結末が、人間の深層心理を掘り下げる深い内容であることが、最後の数分で明らかにされる。

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美しく単調な映画が最後にもたらす驚きに、見る側は耐えられるのだろうか。
すごい映画だ。2度見ても楽しめる映画、いや2度以上見てはじめて見えてくるものがある映画ではないだろうか。
(=^・^=)
 

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