イン・ザ・ハイツ
この映画の魅力は、とにかく映像を駆使したミュージカルシーンだろう。ミュージカルのモブシーンではインド映画が最先端だが、もともとはハリウッドMGMのオハコ(十八番)だった。それをこのラティーノの映画は復刻させている。これらのシーンを見るだけで楽しい。
主人公のウスナビがビーチで子どもたちに語りかけるシーンから始まるこの映画、彼と彼らがニューヨークでどれほど厳しい立場にいたかを細やかに示してゆく。移民で構成されるアメリカという国のニューヨークの片隅で、先代が築いてきたステータスが崩壊寸前であることが示される。インフレでこの街にも住めなくなっている彼らの立場を描く。
住みにくいアメリカを離れて故郷に帰るかどうか、というのが彼らの悩みだ。このままアメリカに残るかどうか。アメリカの社会で虐げられた彼らのことを明るく描く反面、差別や偏見が彼らにも切実な問題であることが示される。
この感動は映画館でしか味わえないのではないだろうか。この迫力。CGを使った建物の外壁で踊る二人のシーンなどは腰が浮くような浮遊感。彼らは偏見の中で生きようとする。それは重力に逆らおうとする意思を示すシーン。
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