この茫漠たる荒野で News of the World
とてもリズム感のない始まりで違和感のある始まりだった。そもそも南北戦争後に金髪の少女が取り残されているとうのにしっくりこない。主人公のトム・ハンクス演じるキャプテン・キッドはどうやらニュース(新聞)を読む仕事のようで、聴衆に向かって記事を読む。グラント大統領(将軍)がコロラドに合衆国迎合を求めることなどが語られる。
しかし物語が進むにつれて、この違和感がじわりと説明されてゆく。妻から遠く離れて旅をするキャプテンと、インディアンに育てられたドイツ系移民の子供、という設定の違和感のその理由がドラマの中で説明されてゆく。もともとアメリカにはドイツ移民が多かったそうだ。(ちなみにトランプ氏もドイツ系移民の直径だ。)
そしてこの少女がドイツ系移民で、生みの親を殺され、育ての親であるインディアンも虐殺されて孤独な状態にあることを浮き彫りにしてゆく。分断は子供にも影響するのだ。
主人公のキャプテンは、子供を彼女の親族が住む場所まで届けようとするが、途中の村で囚われる。ここで彼らが目の当たりにするのは、地元新聞を支配する独裁者だ。ここは極めて重要だ。いまこうしている間にもメディアは自らの利益のためにおかしな方向を指し示す。フェイクニュースである。
キャプテンが家に戻ると、すでに妻は亡くなっていた。このシーンで妻の死を伝えるのがビル・キャンプ。彼は『クイーンズ・ギャンビット』で主人公のベス・ハーモンにチェスを教える施設の用務員シャイベルさんだ。この映画でもわずかなシーンだが存在感を示す。そしてキャプテンの妻がコレラで亡くなった、という意味の現代性はここで語るまでもない。
極めて現代性の高い映画であり、アメリカという国が移民で培われた国であることもまた、この映画の大きなテーマだろう。そしてこの分断を止めるために、映画は子供を中心に据える。子供は未来への遺産だからだ。なんという感動だろう。これはほかの国の古い物語ではなく、いま我々が目の前にしている”なにか?”ではないのか?
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