彼が
ユージン・スミスを演じるという二重性も含めて、
ジョニー・デップは凄まじい勇気をもってこの映画のプロデューサーとして偉大な仕事にチャレンジしたと思う。この功績はどんなビハインドがあっても消えないだろう。素晴らしい映画だった。


ジョニー・デップが
ユージン・スミスになりきっている姿に驚く。そしてユージンと日本の関係についても初めて知る。もちろん当時の彼のキャリアがジャーナリズムとしてのキャリアであることは間違いないのだが、彼の残した写真に威力は芸術の領域だと思う。

ネタバレになるかもしれないが、最後に彼が命がけで撮ったこの写真こそ、神がかり的な芸術作品だと言える。この写真1枚に至るまでの映画である。

ビル・ナイ演じる
『ライフ』誌の編集長とユージンの関係もまたこの映画の見どころだ。スポンサーなくして彼らの仕事は存在しない。


日本側の俳優もまたハリウッドと縁の深い
真田広之さんや
加瀬亮さんや
浅野忠信さんらの演技が光るが、なんといっても
チッソ側の社長を演じた
國村隼さんが群を抜いてこの映画を高いレベルの押し上げていると思う。彼の
水俣病患者に対する考え方は聞いていて恐ろしくなるものだが、きっとこれは今も変わらないものだろう。

そしてこれはユージンとその後妻になるアイリーンとの愛の物語でもある。彼女の支えがあって彼のキャリアは晩年実を結んだ。しかしそのあたりの表現を過度に演出することなく、淡々と演出しているのも好感が持てる。
これは確かに日本を舞台にした映画ではあるが、それほど単純な映画ではない。企業の環境に対する責任や腐敗するジャーナリズム、そして
SNSなどのネットワークへつながる情報の現代性などを鋭く掘り下げる傑作だ。
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貼りました。みつけてみてくださいね。

