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しょうもない

真説 日本左翼史 池上彰、佐藤優 講談社

内田樹さんと姜尚中さんの対談本『新世界秩序と日本の未来』と偶然にも同時に上野で買った本だ。いずれもこのままだと日本はおしまいだ、という危機的状況を懸念している。
特にこちらの『真説 日本左翼史』は、極めて冷静に戦後を見つめ直すことができる優れた本だ。続編も発売されるらしいので、期待している。

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まず、この本のテーマは”来たるべき左翼の時代”を前提としている。「極端な大衆扇動型指導者の登場と、現実の貧困や格差」は戦争の危機を示し、必ず反作用が起こるとしている。ここがすごい。過去にも左翼が主流の時代はあったが、内ゲバや分裂などで団結できず。五五年体勢が今持って続いている。この過去の左翼が支持された背景とそれが分裂し無力化した歴史を丁寧に解説する。
 
左翼の定義は「急進的に世の中を変えようと考える人たち」のことを言い、逆に右翼とは「人間は誤謬性から逃れられないから、漸進的に社会を変えようとする人たち」を差す。後者は自民党だが、前者に日本共産党と今はほとんど存在感を失った日本社会党を軸に歴史をなぞってゆく。
 
第一章では「戦後左派の巨人たち」で、戦争直後のGHQによる占領体制で彼らがどのように対応したかを解説する。この時代の社会主義運動は「講座派」と「労農派」に別れ前者が共産党、後者が社会党へと繋がってゆく。驚いたのはルース・ベネディクトの『菊と刀』の取材に「講座派」が協力していたということ。『菊と刀』というと、江戸時代からの戦中の日本人の特徴を語る著書として有名だが、あの本に今の共産党の影響がったようだ。とても読み取ることはできないが。

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第二章は「左翼の躍進を支持した占領統治下の日本」
GHQが推し進めた民主化がいわゆる「逆コース」をたどる、という話しは驚きだ。当時、共産党GHQ民主化開放政策を支持していたのだが、中国国内で分裂(毛沢東蒋介石)と朝鮮半島ソ連侵攻から、アメリカ(GHQ)は手のひらを返したように反共政策にシフトしていくんですね。
ここにいくつかの事件によって世論がぐらついていきます。そのことはまた。
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