三四郎 夏目漱石 滅びゆく国
三四郎「日本もだんだん発展するのでしょうね。」
広田先生「滅びるね。」
この会話の前に「日露戦争に勝って一等国になっても駄目ですね。」というセリフもある。今の日本はもう一等国ですらない。
このやりとりは第一次世界大戦後の日本。姜尚中さんと内田樹さんの対談で、日本はこのときに行き先を誤ったと解説しています。夏目漱石などはこれまであまり接してきませんでしたが、じかに接してみると彼の哲学が先見性を突いているのがよくわかる。今回の総選挙の結果を見ても、この会話が重なる。日本はこの時代から長い時間をかけて滅びへの道を着々と歩んできたのである。
物語は冒頭で交わされた会話を含む列車の中で始まる。熊本の田舎から東京に出てくる小川三四郎。彼はこの列車の中で何人かの人物と行き交う。一人が髭の男で、実はこれがのちに三四郎の恩師となる広田先生だったのだが、この時点ではまだお互いに知らない同士。世界は広い、という会話の流れで「とらわれてちゃ駄目だ。いくら日本の為を思ったって、ひいきの引き倒しになるばかりだ。」まさに今の日本そのものではないか?(テレビを見れば日本を賞賛するような愚かでつまらない番組ばかり。)そしてもうひとり女と行き交う。名古屋で下車してことのなりゆきで同じ宿の同じ部屋に二人は泊まるのだが、何も起きない。うぶな三四郎の性格がここで示される。
そして物語は、東京で出会う女性に翻弄される三四郎が描かれてゆく。
その女性、美禰子さんを映画で八千草薫さんが演じたようだ。うーむ・・・
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貼りました。みつけてみてくださいね。