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しょうもない

天井の葦 太田愛著

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おかしな借金だらけの探偵のところに、匿名の依頼が来る。ある老人が渋谷のスクランブルのど真ん中で空を指さして息絶える。探偵への依頼はこの老人が指さした空が何かを明らかにすること。たったこれだけのドラマがとんでもない展開になってゆく。想像を絶する。そして制御不能
老人が元医師で、施設で暮らしていたことがわかってくる。そしてそこに公安の捜査官が訪れて死んだ老人と会話していることが明らかになってくる。これがあるジャーナリストが始めようとする番組とそれを阻止しようとする国家権力との間で揺れる。
物語は、死んだ老人が瀬戸内海にある島にいるある人物、暗号名「白狐」へ託したメッセージをめぐり混迷してゆく。探偵たちは小さな島にいる「白狐」がいったい誰なのかを探しだす。探偵たちを別件逮捕するべく追いかける公安の凄まじい執念。

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話の途中だが、これネットで上下巻を買ったが、下巻が表紙だけで中身が上巻だった。もうびっくり。こんなことあるんだね。すぐにクレームのメールを入れたらすぐに対応していただいたけどね。
話を戻すが、戦前戦後の日本の報道と現代を照らして、国家がいかに報道を悪用するかという話が後半の主軸となってゆく。
国が危うい方向に舵を切るとき、その兆しが最も端的に現れるのが報道
というセリフがあるとおり、この作品は報道が常に国の圧力に屈する傾向を示す。そして報道を巡る国家は公安を使ってまで徹底的に弾圧する。そしてこのドラマが示す最も恐ろしいところは、これらの一連の弾圧が、常に無意識にあるいは潜在的に圧力をかける点にある。
報道は政府に(直接)殺されるのではなく、自ら忖度し権力の意向を察して動くように死んでゆく
という最後のひとことに全てが宿る。
町山智浩さんがあとがきでこの感動的な作品に華を添える。それはこの著書のタイトル「天井の葦」の意味がウィリアム・ブレイクの『無垢の歌』が、当時の過酷な児童労働に対する反発を示すものであることを教えてくれる。葦はこの本の中で孔雀の羽として代用されている。そしてその葦(羽)の先にはペンがある。ペンを持つものは常に国家と戦う義務がある。国家の弾圧に阿ることは、国家権力の濫用を許す愚かな行為だ。
いまネットや報道を見ると、国家が守ろうとするものが何なのかがわからなくなっているような気がする。それが国家の狙いでもある。その国家の狙いにまんまと丸め込まれた人々の潜在意識にある妥協点を破壊するような作品がこれだと思う。そして原一男監督や大島新監督が世に突きつけるものをも連想させるすごみがあった。
ドラマでありながらドラマ以上の哲学と教訓を与える。
常に国家を信用していはいけない。」ということだ。
 
 
 
 

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