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しょうもない

香川1区 大島新監督


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大島新監督の『香川1区』を鑑賞。

・・・

ちょっと言葉が出ないぐらいの感動で嗚咽。前作『なぜ君は総理大臣になれないのか』へのアンチテーゼ。あちらは敗北でこちらは勝利。しかしながら、この映画が終わりではないというところが非常に難しい。立憲民主党の総裁選で落選した結果報告で終わらせるこの映画だが、北野武監督の『キッズリターン』からセリフを借りれば、

「おれたち、もう終わっちゃったのかな?」

「まだ始まっちゃいねえよ。」

負け犬のドラマの感動的なラストシーンは、この映画にも重なる。北野武が大島新監督の父大島渚監督の『御法度』で切り落とした桜の意味もまた思い越される。これは偶然というかこじつけなのだが、この映画の小川淳也陣営の勝利と、平井卓也陣営の敗北に見紛う狂気は同一のものだ。小川氏が言う通り「勝った51が負けた49を背負う政治」は聞こえはいい。しかし政治は清濁併せ持つものと言われる所以はこの振り幅の行方がまるで見えないという点に尽きる。

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この映画は対立を描く。平たく言えば善と悪の対立だ。平井陣営がどんどん悪の巣窟のように、あるいはチンピラヤクザのような大人気ない軍団と化してゆく様は狂気だ。小川氏が”叡智と狂気”というように、選挙はいかなる常識をも覆す恐ろしい毒を持った世界だ。それをわかった上で小川氏は真正面から政治にぶつかろうとする。

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そして彼を支える家族や支援者はいかにも弱々しく、ヤクザ軍団のように描かれる平井陣営に比べれば悲しいほどに優しい。強さと優しさ。この映画は小川淳也という人物を徹底的に善として描ききる。そして最後、この映画が公開される前の結果を知った上で描かれる当選した瞬間の喚起は見る側に圧倒的な感動を呼び起こす。小川氏の長女が「正直者がバカを見る世の中」のあのセリフがこの映画の全てを物語るといっていいだろう。

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これだけの感動を得て、政治という誰もが諦めかけたもの、絶望していたものに光を当てようとする姿勢に感動しつつも、実はこれからが茨の道である。この映画はじんわりとその余韻を残しつつ終わる。仮にもし小川淳也が総理大臣になれば、彼が悪役となり日が来ないと誰が保証できるのであろうか。平井卓也だって、あの政党の祖先として生まれなければ、あれほどみじめなダークサイドに落ちることもなかったはずだ。善と悪は表裏一体の同一なのである。

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大島新監督は十分理解して今頃逡巡していることだと思うが、彼がこの映画を結果として終結させるとは思えない。この映画はたしかに感動を呼び、傑作であることに間違いはない。100点満点の映画だと思う。しかし、これは映画なのだ。ドキュメンタリーという映画なのである。それを思うと、必ず今村昌平監督の『人間蒸発』が蘇る。ドラマか真実か。ドラマは真実からしか生まれない。それでもドラマであることは変わらない。ドキュメンタリーというカメラの強迫性を十分理解したうえで、政権与党であるあの党を敵に回してこの映画を撮り切ることの覚悟が大島新監督には見える。そして彼の背後にもまた、あの偉大な監督の姿が乗り移ったように感じさせるのだ。

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戦いは始まったばかりだ。
 
 

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