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しょうもない

ニーナ・シモン 魂の歌

ニーナ・シモン 魂の詩』を鑑賞。町山智弘がラジオで紹介してたらしい。
きっかけは先ごろ映画館で見た『サマー・オブ・ソウル』。

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冒頭、なぜシモンが失踪したのか?という手紙の文字が示され、そのあとジャズフェスティバルで彼女が紹介され、静かに登場する。そして深々と長い時間頭を下げてお辞儀をし、万来の拍手を浴びて客席を見下ろす。拍手が鳴りやんでも彼女は客席を見下ろし見渡す。このワンシーンだけで映画が成立している。彼女の生い立ち、彼女の才能、彼女の戦いなど、ありとあらゆる意味がこのワンシーンに込められている。
そして最後に同じシーンが繰り返されるのだが、映画を一通り見終えると、このワンシーンの感じ方がまるで変わる。久しぶりにステージに立つ彼女の気持ちが乗り移るようなシーンだ。客席に向かってお客を叱りつける刺々しいシーンがある。これが彼女なのだ。『サマー・オブ・ソウル』で彼女の攻撃的で自信に満ちたシーンを見た後だけに感動が倍増する思いだ。

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貧しい生れの彼女は、幼い頃ピアノを弾いているところを白人の音楽教師に認められ、英才教育を受ける。彼女が弾いたピアノはクラシックで、そのことが彼女のトラウマとなっている。その才能はジュリアード音楽学院に入学ができるところまでいくのだが、残念ながら落ちてしまう。落ちた理由は「黒人だから」。

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このことが彼女の前半生に大きく影響する。彼女は「アイ・ラヴ・ユー・ポーギー」の大ヒットでアイドル的な人気者になるが、次第に攻撃的で政治的なメッセージをダイレクトに発信する存在へと変わってゆく。ミシシッピ・ゴッダム」などという激しい曲がヒットする反面、だれもが彼女を腫れ物のように感じることになる。結婚した敏腕マネージャーを夫に迎え、娘が生まれるなど幸せな生活と多忙な日々は、彼女を次第に狂気という病へと進めてゆくのだ。

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大きな反動の中で、彼女自身も強い揺れを感じながら、彼女と彼女の家族やスタッフなどの人生は目まぐるしく変化してゆく。特に、彼女が夫から受けた暴力を、自らが娘を虐げることに連鎖する話しは正気では聞くことに堪えられない。暴力が暴力を生む。暴力の連鎖。彼女がキング牧師の非暴力運動に対抗した結果が最後に示される。彼女を支えた人々の証言と彼女自身の声を重ねてゆくこの映画の真実を、いま分断されたアメリカを間近に感じながら見ること尋常ではいられない。
この映画を演出した女性監督のリズ・ガルバスの才能も感じさせる。
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