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しょうもない

木内一裕監督作品特集上映 シアターバッカス

過日、高円寺のシアターバッカスで特集された木内一裕監督の全作品を、同級生と一緒に鑑賞した。同級生に映画監督がいるということがまず驚きだったが、年に1度の忘年会ぐらいでしか会うことがなかった彼のこの20年の軌跡をたどる時間を共有したのはうれしかった。
短編映画の自主作品なので、メジャーで見る機会もないし、映画レビューサイトにも出てこないのだが、鑑賞した映画はいずれもクオリティが高く、何よりつくり手である木内氏の姿勢、生涯をかけて取り組もうとしてる姿勢が明確に示されていて心を打った。

この日は、この『Sun Flower向日葵』に出演され齋藤朱海さんが進行役で、会場に中野誠也さん(なんともうじき90歳)や坪井木の実さん嶋多佳子さんらが来られていて会場を盛り上げた。この「向日葵」は東日本大震災を描くものだが、映画の端々に政治にたいする批判。いつも虐げられる庶民の叫びなどが柔らかく描かれている。人物が誰も強い主張をしないあたりに、極めて強い主張を感じる。しかもヤクザ役の中野誠也さんの好演もあって強さではなく包容力のある表現がより強いメッセージとなっている。木内監督が命がけで撮った、といわれる所以は、自分も多少なりとも理解できる。主人公の齋藤朱海さんもまた被災者だったことで、彼女の屈託のない笑顔に胸が張り裂けそうになる。

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アメリカを舞台にした第1「White Shadow 白イ陰」、2作目Green Tea-r 緑色の涙」と続く。それぞれが原発についての物語で、重く深い。特に「緑色の涙」で冷たいお茶のしずくがぽたりと落ちるシーンは涙をさそう。小さい子供が大人の気も知らずに残酷なことばを重ね、やがて終戦。市長である滝田裕介さん演じる祖父が米兵が孫に与えるチョコレートで敗戦を実感するシーンの凄まじい現実感。

こうした過去作品を見ると、すでに一度鑑賞している『明日の献立』の言わんとする意味がより強く感じられる。このドラマには、娘を亡くした母親が存在する。放射能汚染を調べる仕事の裏側に失った娘への思いがあることで、この映画、あるいは木内監督がずっと貫こうとする命の尊さなどのことをあらためて強く印象づけた。

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途中で木内監督が、当時のエピソードなどを紹介してくれて、より映画が面白く感じられた。一連の作品にはそれぞれの色がある。白や緑や黄色、あるいは影というモチーフの黒といった色あいが美しくも厳しく描かれていて印象的だ。しかし実際の放射能に色はなく、見えない恐怖に誰もが翻弄される。ドラマ自体はいずれも優しい印象だが、内容については過酷な現実を掘り下げようとするものだ。短編である特性を活かしながら印象的なシーンを要所に使う手法も見事だと思う。
次回作とこの先の20年に、大いに期待したい。
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