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しょうもない

日本アカデミー賞廃止論

 
濱口竜介監督が『ドライブ・マイ・カー』で本場ハリウッドのアカデミー監督賞にノミネートされた。日本人としては36年ぶり、黒澤明監督が『』でノミネートされて以来の快挙。ノミネートだけでもすごいことだが、もし受賞となると停滞する日本映画界にとっては大きな励みとなる。低予算で高品質の映画を撮るのは大変なことだ。『ドライブ・マイ・カー』ももちろん内容が評価されてのノミネートだが、限られた予算で作られた点をもっと評価してあげたい。かたや潤沢な予算で作られた映画会社とテレビ局のタイアップ映画は目を覆いたくなるような作品ばかりで辟易する。

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黒澤明監督がノミネートされた第58回アカデミー賞では、昨年お亡くなりになったワダエミさんが衣装デザイン賞を受賞している。ご主人の和田勉さんともども映画界に残された功績は極めて大きい。ちなみに監督賞はシドニー・ポラック監督が『愛と哀しみの果て』で受賞した。ロバート・レッドフォードメリル・ストリープが主演の超大作。懐かしい。

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おととしの『パラサイト 半地下の家族』だけでなく、近年のアカデミー賞は開放傾向を強める。『シェイプ・オブ・ウォーター』もメキシカンだ。審査委員に白人が多いことの指摘を受け、作品賞はノミネート作品の数を増やすなど積極的である。ギレルモ・デル・トロ監督が受賞したときのメッセージに「境界線」という言葉があった。「境界線が人々を隔てようとするとき、我々(映画人)はそれを消し続けなければなりません。」この言葉にはこみあげるものがある。明らかにドナルド・トランプがメキシコ国境に壁を作ろうとする政策に対する批判である。

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かたや、日本のアカデミー賞は相変わらず俳優や著名人を舞台に並べて品評会のような見苦しい式を続けている。スポンサーに左右される金が舞う賞に価値はない。かの黒澤明監督は、国内作品を中心とした日本アカデミー賞に反対して、国際映画祭の開催を支持した。どちらもスポンサーの息が届く仕組みではあるが、国際的であるという点で東京国際映画祭日本アカデミー賞に優るものと感じている。そしてかねてより日本アカデミー賞は廃止したほうは良いと主張している。自国の中だけで行われる品評会に未来はないし価値もない。どんどん世界との境界線が深く太くなる。いかにも島国らしい発想だ。

濱口竜介監督が国際的に評価を獲得したのは、カンヌなどの国際映画祭に積極的な参加をしてきたことと、東京国際映画祭でも外国の映画人を招いて対談するなど、国際的な活動が評価された側面もある。

濱口監督の活動とデル・トロのメッセージを重ねるつもりはないが、どちらにしても国際色の薄い、排他的で見栄えのしない日本アカデミー賞は世界の趨勢に対し、明らかに逆行する時代遅れの無駄なものだと思う。映画の世界に「境界線」をひいいていることに気づかない主催者もまた時代遅れと言わざるを得ない。
 

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